秋の風 園長 2005年11月
厳しかった夏の暑さも遠のき、自然学園で生活を送っている職員や留学生には、
郷里で味わうことのない、山村の四季の流れを感じられる時期になりました。
日差しの中から流れ込んでくる涼しい「風」は、将来出会う秋の静けさと、
今に昔の思いを寄せる自然からの目に見えない贈り物だと感じています。
今から十一年前の十一月は、自然学園創設者(初代園長)鈴木康正氏がご逝去をされた月でもあります。
この年は、池川地区の安居渓谷の紅葉はみごとな色合いを見せ、
訪れた方々も多く、鈴木園長婦人は、園長の容態を気にしながらも、
同窓生を安居渓谷へ案内されていたことを思い出します。
鈴木康正先生は、旧池川町出身で、長い教員生活の経験を通して決意されたのは、
「人生の最後に、子ども達の自立のお手伝いをすることで、社会にお世話になったお返しをしたい。」と、
考えられていたようです。
現在の自然学園の敷地は約4ヘクタールありますが、
学園設立にあたり、鈴木先生は、五十人近い地権者の方々を訪れ、
学園設立のご理解や協力を願い、現在の土地を自費にて購入され、
旧池川町に寄贈されたと聞いております。
「昔、仙人は山にこもって修行をした。社会や学校に馴染めないでいる子供達が心の平和を保つには、
自然の中が一番だ、自然の中へ返してやったら、自然の感性を取り戻してくれるのではないか。」と、
満面の笑みで話しをしてくれたことを思い出します。
自然の法則は変えることはできないが、仁淀川町の山間で自然に触れることで、
子供達の心の中に芽生えようとしている感謝や思いやりの気持ちを
秋風と共に感じてみようと思います。
建設当時の自然学園