2013年3月16日に池川自然学園最後の卒園式と閉園式がありました。
天候にも恵まれ、暖かい春の風にふかれながら卒園生は次のステップへと歩き出しました。
180名以上の方にご参加いただき駐車場として使ったグランドには車が停めきれないほど。
卒園生と学園を見送る方で会場もいっぱいでした。
これまで学園を見守り支えて頂いた方々へは本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
20年余の間に学園で生活をした450名以上の子どもたちだけでなく、
様々な形で自然学園とつながりをもって頂けた方々の気持ちの中に
学園との営みを残していただければ幸いです。
長い間ありがとうございました。
またどこかで。
式当日の園長から卒園生への式辞をご紹介します。
園長式辞
春の光や春の薫りを、皆様の表情や心からも感じられるすばらしい季節になってまいりました。
ただいま、自然学園を卒園する留学生に山村留学の修了証書を授与することができました。卒園生のみなさんの留学期間、本当にご苦労様でした。また卒園生は昨日3月15日、仁淀川町立池川中学校を無事に卒業したことを、併せてご紹介させて頂きます。
保護者の皆様、ご家族関係の皆様に、心よりお慶び申し上げます。また、本日ここに卒園式・閉園式が皆様方と共に挙行できますこと、心より感謝するところです。
閉園式にあたり、ご案内を申し上げたところ、仁淀川町長大石弘秋様、仁淀川町副町長片岡庚秋様、町議会議員並びに町関係者の方々、高知県心の教育センター大城由美様、はまゅう教育相談所所長中岡和夫様ほか多数のご来賓、また、関係者の皆様にご臨席を頂き、御礼申し上げます。
本日は、池川中学校から前田校長先生、依光教頭先生、養護教諭の吉村先生、同級生や保護者、関係者の出席を頂いております。
卒園生は池川中学校でたくさんの方々の思いやりややさしい気遣いを頂き成長してきたことを、昨日の卒業式に参加させて頂き、感じました。改めて、御礼を申し上げます。
卒園生のみなさん、この会場に足を運んで頂いている方々からの「祝福」の気持ちと「お世話になったこと」改めて感じ、感謝して下さい。
卒園生の留学期間はそれぞれ1年から1年半でした。そして4名から17名の友達と寝食を共にしてきました。みなさんは、すでに知っていることですが、学園の入園日と退園日は、自由に決めることができます。その為、突然に友達が入ってきたり、突然に友達が帰ったりします。今までに会ったことのない友達との出会いに期待や戸惑いを感じ、自分の気持ちをどのように表現し伝えていくか、そして相手の気持ちをどのように受け止め、関係を深めていくか、あなた方自身が考える場面が沢山あったと思います。
しかしながら本年度は、このように「閉園」という残念な節目を迎えなければならず、新しい入園者が少なく、まして池川中学校に一緒に登校できる新しい友達を迎える機会が日が経つ毎にどんどんなくなっていきました。そして少人数の生活が続きました。
「新しい友達が欲しい。」「もう体験生は来ませんか。」と、しかし、だんだんとロにすることもなくなって行きました。寂しい気持ちに向き合い、また方法はなかったかと心を練る繰り返しだったと思います。
学園の入園を希望した理由の為に、辞めず、諦めず、そして新しい環境ゆえ自分と遣った選択肢を探し続けてきた結果が、
今、みなさんの心にある達成感ではないかと思います。
入園前にはなかった感情のチャンネルがみなさんの成長とともに増え始めました。このことはこれから皆さんに、皆さんの周囲の人が見せてくれる、話をしてくれる大切な想いに反応できるアンテナだと思って下さい。
卒園生の作文にこのようなことが書かれてありました。
最近、友達から「なんか、落ち着いたね。」「ノーマルになったね。」と、言われました、ということです。また、そのことで学園に来なかったら自分というものがわからないままで生きていたと思います。周りのことを考えるようになり、少し成長することができました。と自分のことについても書いてくれています。
また別の卒園生の作文には、このようなことが書かれていました。
学園に来てなかったら、ダラダラした生活が続いていたと思います。だから学園に連れて来てくれた親にはとても感謝しています。
ここでの生活で沢山学ばせてもらったおかげで、親に「大人になったね。」と言われて、すごくうれしかったです。と書いてくれていました。
また別の卒園生の作文には、
僕が学園に来てなかったら2年生のままズルズルとだらけた生活をしていて、学校にもきちんと行かず遊んでばかりいたと思います。だから学園に来てなかったら、の自分はなかったと思います。最近地元に帰った時、元の友達や前の学校の先生にも、「真面目になったなあ。」とか「成長したなあ」とか、いっぱい褒められました。と書いてくれていました。
このように、あなた方がこのような環境を通じて、こうした結果につながったことは、池川自然学園の事業に係わっている者にとって大変意味深いものです。
また、あなた達にとっても貴重な自信の持てる経験です。生活環境や人間関係が変わったことで自然と心遣いや行いが変わり、みなさんが安心できる方向に向かい、こうした結果を迎えたことは喜ばしい限りです。みなさんの周りにあったこれまでの良いことも悪いことも、そして誰かがいなくて何かがなかったら、今日のこの現実は遣った結果になっていたと思います。
学園は知らなかった人同士が集まり、寝食を共にして安心した生活を求めていく場所です。その為に、職員と生徒全員が揃って、晩御飯も食べずに話し合いをしたことがありました。
ひとりひとりが相手の立場を考えることのできる環境であり、自分のことに気がつく環境でもあります。これからも日常生活にあるものを当り前と思わず、あなた方の見方が変わればまだまだ感謝ができるものに繋がります。是非そうした感謝に繋がっている一つ一つを見つけ出し、心の中にあるもう一人の自分と切嵯琢磨しながら、ますます成長して欲しいと思います。
皆さんが過ごしたこの仁淀川町の時間は、忘れることのできないこれからも膨らんでいく「想い出」になり、今後の「生きる糧」になると確信します。今、あなた方はこれまでの我慢や辛抱が、喜びや満足に変わっているすばらしい瞬間を感じていると思います。大変うらやましいです。これからも「ありがとう、ごめんなさい、よろしくお願いします。」の気持ちを常に持って、「人、もの、時間」に向き合って下さい。
ご家族の皆様には、大切なお子様をお預け頂きながら、十分にお応えしきれなかった所がありますが、今日まで温かいご支援を賜り感謝申し上げます。事故なくお手元にお返しができそうです。ありがとうございました。卒園生の皆さんもカメムシとお別れです。
最後になりましたが、本日ご出席頂きました皆様方と仁淀川町並びにすべての関係者の皆様に感謝を申し上げ、式辞と致します。
平成25年3月16日
池川自然学園園長 宇賀孝敏
※当日読まれた式辞には学園での成長ぶりを含めて卒園生一人一人の紹介がありました。