池川自然学園は山村留学事業の中で積極的に不登校生徒の受け入れをしています。
出身地は東京、千葉、埼玉、静岡、京都、大阪など全国に及びます。平成21年度の留学生17名の内16名は3ヶ月から1年ほどの不登校経験者でした。
不登校経験者として入園をした留学生のうち16年度は6名、17年度6名、18年度2名、19年度2名、20年度2名、21年度2名が高校進学を決め卒園しています。
高知県の山間にある「池川自然学園」が選ばれるのは山村留学事業と不登校児童生徒の適応指導教室(中学校の出席扱い)の役割を併せた事業を行っているためです。
山村留学事業の取り組みは全国的にも多く同様に適応指導教室やフリースクールも数多くありますが、山村留学と不登校対応を併せて実施している点が池川自然学園の大きな特徴です。
自然学園では寮生活で不登校の中学生をお預かりし、状態が回復すれば出身校の中学校へ復学できます。
また、いじめ等で出身校へ戻ることに恐怖心がある中学生の場合は、山村留学生として仁淀川町立池川中学校へ転校することもできます。生活の場所を変えず(自然学園生活の継続)新しい中学校に登校できる体制は、全国的に珍しい取り組みです。
親元を離れてた寮生活を通して留学生は同世代の悩みを共有しています。その中で自立心や忍耐力を養い、家族を含めお世話になっている方々への感謝と思いやりの心が育っていきます。
留学の形態も留学生により様々に対応します。ゆっくりと進路を検討するための短期の入園や、自然学園で日課に沿った生活をすることで「出席扱い」の対象になることを望んで長期の留学を希望する留学生もいます。
全国で山村留学の取り組みをしている市町村や団体はたくさんあり、いじめによる不登校生の問い合わせも多いそうです。
しかし純粋な山村留学希望者と不登校生とでは指導面が違い、不登校経験者が敬遠される傾向が強いと聞きます。
現在の教育現場は先生の指導力の向上、スクールカウンセラーの配置、適応指導教室の設置など多くの対応の試みがされています。しかし来園される方の中には、それらの対応で十分に満足されていない方もいらっしゃいます。
また学校以外で何処にどのように相談していいのか分からない、と悩まれている方々が多いように思います。
学園は学校復帰を「第一」にはしてません。留学生同士、職員と留学生との人間関係を基本に、食事や学習、余暇の過ごし方など、日常生活の喜怒哀楽を共有することで、本来の留学生の表情を取り戻すきっかけとなり、その結果、学校復帰につながればと、考えています。
生活環境(食生活を含む)と人間関係を変えることで、生活の改善や登校に向けての手がかりが見えてくると考えています。